エミール・ガレ所蔵品

アール・ヌーボーの巨匠

エミール・ガレ

エミール・ガレ:好かれるための気負い

作品名
好かれるための気負い(Souci de Plaire)
作者名
エミール・ガレ(Emile Galle)
年代
1889年
説明
ガレが「アンティーク・グリーン」と命名した、青緑の四層ガラス。
「 Souci de Plaire 」好かれるための気負いの銘が深く彫刻されている。
1889年 パリ万国博覧会出品作。

エミール・ガレ:ジャポニズム菊文鼓型花器

作品名
ジャポニズム菊文鼓型花器(Chrysanthemun Vase)
作者名
エミール・ガレ(Emile Galle)
年代
1880年
説明
1880年代は、ガレが日本の意匠に大きな関心を示していた時代であり、軟質陶器を鼓型に成型したこの作品はぼかし金の雲の背景に曲線美を活かした菊が描かれ、また胴部は銀彩による市松模様や金彩による唐草模様など日本の伝統的な装飾が描かれた、西洋陶器にはみられない施釉、上絵技法を用いている、ガレのジャポニズム作品である。

エミール・ガレの歴史

  • 1846年5月4日、フランスの北東部ロレーヌ地方、ナンシーでシャルル・マルタン・エミール・ガレは誕生しました。生家は陶器工場を営んでおり、父シャルル・ガレは新しいガラス食器などの販売を次々と手がけ事業は成功を収めていた。父は、息子のエミールに広い視野と考えを身につけるためしっかりとした教育を受けさせた。リセー(高等中学校)でのエミールは哲学、語学、文学に優れた才能を発揮し「詩」には特に深く通じていた。課外では、デッサンや風景画の授業を受け、又、当時名高いD・A・ゴドゥロン教授についてかなり専門的に植物学を学んだ。
  • 1862年リセーを卒業するとドイツのヴァイマールに留学し、文学、哲学、植物学に加え鉱山学を学ぶ。更に、建築と装飾の美術について勉学を修めた。
  • 1864年再びナンシーへ戻り、父の工場で製品の絵付けを手伝う。
  • 1866年再びドイツマイゼンタールへ行き、ビュルグン・シュヴィーラー社のガラス工場で科学とガラス製造の技術を習う。
  • 1867年パリ万博が行われた。
    日本の工芸品や浮世絵などの美術品が出品されヨーロッパジャポニズムの新しい大きな波が押し寄せたのである。
  • 1868年再びナンシーの父の工場で絵つけを担当するが、1870年にプロシアとフランスの戦争が始まり、エミールは義勇軍に志願した。宰相ビスマルク率いるプロシア軍はフランス軍を圧倒しパリに入城。敗戦国となったフランスは多額の賠償金を負い、そしてエミールの故郷であるアルザス・ロレーヌ地方を割譲されてしまった。エミールは実戦を経験することはなかったがプロシアの侵略行為は彼の心にまで及んだのである。
  • 1871年父についてイギリスを訪問し、現在のヴィクトリア・アンド・アルバード美術館を見学し古代ガラスの魅力にとりつかれた。この旅行の帰路の途中、パリ、イタリア、スイスを周り、美術館や植物園に訪れ見開を広めた。
  • 1873年父シャルルはナンシーのラ・ガレン通りに屋敷を建築した。次の年、エミールは分散されていた家業のガラス工場をナンシーに集め、ガラス製造に意欲を燃やした。
  • 1875年牧師の娘アンリエット・グリムと結婚した。この頃から積極的にガラス作品の制作を始めた。
  • 1884年装飾美術中央連盟に作品を出品し好評を博す。
  • 1885年日本からナンシーの森林学校に留学生がやってきた。彼は高島得三といい北海という。画号をもつ人物である。高島と交流をもつようになってエミールは、日本美術をより身近に感じることができた。自然を愛し、自然にそぐう生き方と、その中から美を見いだす。日本美術はエミールにとって遠い国の文化ではなかったのだろう。それからエミール・ガレの活躍はめざましいものがある。多くの美術展に作品を出品し数々の名誉ある賞を手に入れた。そして、ガラスという素材の研究を重ね、新色や新技術の特許を次々と取得していくのである。
  • 1900年パリ万博で、大量のガラス作品を出展し、堂々たる「ソロモン王の壺」でグランプリを獲得。ガレの芸術は栄光に輝き満ちていた。
    しかし、病魔はエミール・ガレの肉体と精神を蝕み始めており、心は重い分裂症を患い闇の中をさまよい続けた。
  • 1902年最愛の父の逝去によるガレの落胆ぶりはかなりひどく、より一層、自らの殻に閉じこもるようになった。その後、少し落ち着きを取り戻したエミール・ガレは、悟りの境地に達したような気高い作品の制作を続ける。
  • 1904年9月23日、シャルル・マルタン・エミール・ガレは、白血病により、58年の生涯を終えた。
    使命を果たした蜻蛉のように静かに命の際に落ちていったのである。